流行りの恋愛アニメか、いにしえのラジオドラマのようなひとコマ。

先週末、祭りに向かう小さなバスの中で乗り合わせた
高校生らしきカップル。
二人は恐らく初めてのデートで、
普段は複数の男女によるグループを形成しているらしい。
いわゆるこれは抜け駆けかな。

女の子は終始そのグループによる
二泊三日のグループ旅行のプランニングを気にしている。
それに対し、男の子はそれとは別の場所への
日帰り旅行の話題を唐突に持ち出す。
彼「〇〇へも行かなきゃって言ってたよねえ、行きたいよねぇ~」
彼女「〇〇へは行くことになったんだっ。」
彼「へぇ~、誰と?」
冷静を装いながらも矢継ぎ早の質問に彼の焦りが露呈する。
やがて一緒にいく相手が女性と分かり、
質問の嵐は一旦おさまる。

軌道修正を図る彼女は
グループ旅行の具体的な話題へ誘導するものの、
彼はその話題には気がないようで上の空。
そこへ彼女は不意をついて彼の懐へ直球を投げ込む。
「ねぇそれって、私をデートに誘ってる?」
いきなり胸元をえぐられた彼、人ごとのように
「これは一緒に行きたいと言っていることになるので‥、
結果的にはそいいうことになるかな‥」日本語がやや怪しい。

この後会話は途切れがちになるも、
しばらくすると何事もなかったかのように、
話題はこの日のお祭りや車窓の風景などに変化し、
ごく普通の友達同士の会話に戻っている。

私はこれを決して盗み聞きしたわけではなく、
直近にいる二人の会話が自然に聞こえてきてしまったのである。
遠い昔にそこを通り過ぎてしまった、
こんな爺さんを許してもらいたい。

この女の子の意表をつく胸元ストレートには、
この爺さんも目の醒める思いがし、
おかげでそれまでぼんやりと聞いていた会話の筋道が
一気に明瞭になった。

今も昔も物語は祭りの夜に始まることが多いとか。
駆け引きでは圧倒的に劣勢のようだったが、
がんばれ平成末男子!

「俺もあんな頃、浴衣の子とデートしたかったな~。」
とつぶやくおじさんともすれ違ったりした、8月も終盤の暑い夜、
平和っていいな、戯言失礼。

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